成年後見人の相続で借金は引継がれるのでしょうか(26歳 女性 主婦)

2015年5月18日


ご相談

成年後見人は借金を相続するのか

成年後見人で相続する場合、借金を受け継がなければならないのでしょうか?義父が認知症と診断され、様々な方のアドバイスにより、成年後見人が必要なのではないかと言われています。義父には 借金があり私の夫がもし、成年後見人になると、父が亡くなった場合、夫に借金が相続されるのかどうかが知りたいです。 

成年後見人制度の相続

ご回答

まず、二つの事が一緒になってしまっているようなので、別々に説明します。

1:成年後見人が借金を引継ぐ ことになるか

成年後見人だから借金を引継ぐことになるという事はありえません。同じ事で利益が出たからといって、それを引継ぐこともありません。

成年後見人の一般的な職務の内容は、本人の「生活、療養看護および財産の管理に関する事務」であり、被後見人生存中の監護・代理行為を行うのが仕事です。

「生活、療養看護」といっても、食事の世話や介護サービスをするということではなく、本人が生活や健康を維持していくのに必要と予想される介護サービスや治療等を受けられるように手配する事など、与えられた権限の中で本人に代わって本人の生活や療養に必要と思われるサービスや事務をするという事です。

「財産の管理」については、財産を維持管理し、本人のために処分したりすることになります。「成年後見」における財産管理は包括的に任されるため、非常に重要な職務です。成年後見人に選任されたら、すぐに本人の財産を調査し、1ヶ月以内に財産目録を作成し、本人の生活や療養看護、財産管理のために必要な予定金額を決めなければいけないという義務があるのです。

大事な2つの義務

本人の意思を尊重する事と、(「意思尊重義務」)、本人の心身の状態および生活の状況に配慮する(「身上配慮義務」)という2つの義務を負うことになります。また、家庭裁判所の許可なく、本人に代わって、本人が住んでいる土地や建物を売却したり、抵当権を設定したり、他人に賃貸したり、あるいは賃借しているときに契約を解除することはできません。

家庭裁判所への報告義務

成年後見人は、職務内容について1年から2年ごとを目処に家庭裁判所に報告する必要があります(後見事務報告)。
 

相続するのは法定相続人だから

2:成年後見人だからではなく法定相続人だから

借金を引継ぐ可能性としては、上記の説明により、成年後見人が理由にならないことお分かりいただけたと思います。もし、義父様が亡くなられた場合、今度は相続が発生してくるのです。法定相続人である旦那様は義父様の財産を相続する事になりますが、プラスの財産もマイナスの財産も引継ぐのが相続です。
 
今回はマイナスの財産の方が大きいように考えられますので、相続したくなければ相続放棄の手続きが必要になります。
 

成年後見人が被後見人と同時に相続人になる場合は?

例えば、母親の成年後見人をしている長男がいた場合で、父親がなくなったときに相続が発生したとします。
本来、成年後見人は被後見人の代わりとなり、遺産分割協議に参加することができるのですが、同時に相続人となる場合は、利益相反関係が生じる為、そのままでは遺産分割協議に参加することができないのです。
 
自らが相続人であるという立場と、母親の代理である相続人の身分というような、2つの身分をもって遺産分割協議に参加することはできないと法律で定められています。
 
このような際は、後見監督人に遺産分割協議に参加してもらうか、特別代理人の選任を家庭裁判所に申し立てる必要があります。
 

相続 成年後見人

被後見人が亡くなった場合

成年後見人は被後見人が亡くなった場合、相続によって相続人に財産を引き渡して、後見人の仕事が終了となります。

相続人の1人に管理する財産を引き渡せば後見人の義務を果した事になりますが、相続人が複数いるような場合、トラブルの発生を避けるために、 相続人全員に同意書(実印+印鑑証明書付がよいでしょう。)をもらって代表者に渡す方法が一般的です。

成年後見人 相続

成年後見人は親族がなるもの?

そんな事はありません。昨今では、トラブルを防止するためや、そもそも、子どもがいないなど、独り身の方も増えてきているため、他人が後見人になるケースが増えてきております。平成25年度では親族が成年後見人になるのは42.2%。

既に半数以上が親族以外が指定されることになっているのです。主には、司法書士・弁護士・社会福祉士等の専門家等が指定されています。 

平成25年12月末日時点における,成年後見制度(成年後見・保佐・ 補助・任意後見)の利用者数は合計で176,564人(前年は166,289人)であり,対前年比約6.2%の増加となっています。専門家への依頼の場合、費用が必要となりますが、より健全にかつ、相続人同士のトラブルを避ける意味として、親族以外の後見人の価値は高いと考えられます。

 

今回は成年後見人を中心にご紹介しましたが、成年後見制度には本人の判断能力の程度により,「後見」,「保佐」,「補助」と被後見人の判断能力により分かれており、判断能力は医師の診断書に基づき分けられます。相続人に認知症(痴呆症)や未成年者がいる場合は?(成年後見人制度・特別代理人制度)

その後また、何かお困りの事がありましたら、再度ご相談下さい。

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【関連ページ】
●相続人に認知症(痴呆症)や未成年者がいる場合は?(成年後見人制度・特別代理人制度)

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