行方不明(失踪)者がいる相続の手続き

2015年3月16日


日本の失踪者は83,948人にのぼり、そのうち40代以上の失踪者の割合が約44%。これはあくまでも届出が出ている件数であり、実際には、さらに多くの数が予想がされています。行方不明者の財産を処分したい、または相続人の中に失踪者がいて、遺産分割協議が進まないなどの問題はいたるところで生じているのです。

行方不明の方の財産をご家族で相続されたい、手続きを進めたい時とあわせて、相続人の中に行方不明者がいる場合に必要な手続きをご紹介します。

被相続人が行方不明(失踪)の場合の手続き 相続110番

行方不明の人の財産を処分、または相続したい場合

▼不在者管理人をたてればよいの?

親族が一定の範囲内で管理行為をすることは、もちろん許されますが極めて限定的なものになります。親族といえども、不在者の代理人としての権限を持つわけではないので、不在者に効果を帰属させる必要のあることはできません。行方不明者が相続人である場合の遺産分割協議も、できないことの一つです。

不在者管理人 行方不明の被相続人 相続110番

そこで、行方不明者(=不在者)が帰ってくるまで、もしくは死亡が判明するまで、失踪宣告等で死亡とみなされるまでの間、一時的に行方不明者の財産を管理するために、不在者財産管理人は、行方不明者の代理人として、「保存行為」及び「財産である物または権利の性質を変えない範囲内での利用または改良行為」をすることが可能です。

「保存行為」の例としては、価値を損ねないために行う建物等の修繕、受取期日が到来した貸付金の取り立て、支払期日が到来した借入金の支払いなどにあたり、「利用・改良行為」とは、財産の現状を維持しながらのプラス行為で、例えば、現金を銀行に預け入れること、物を有償で他人に貸し付けること、建物を耐震補強するなどです。ただし、不動産の賃貸には制限があります。

家庭裁判所の権限外行為許可を得た上であれば不在者に代わって不動産の売却等を行うことができます。

▼不在者が亡くなった事と同等の扱いとなる失踪宣告

行方不明者(=不在者)が本当に死亡しているかどうかの判定は別として、不在者が死亡したのと同様の法律効果(相続など)を生じさせることができる制度です。※死亡を確定させるものではありません。

2種類の失踪

失踪には以下の2種類があります。

失踪宣告 普通失踪 特別失踪 相続110番 
●普通失踪

蒸発や一人旅など出かけたまま行方不明になっており、なんらかの事情で7年以上も生死がわからず長期間の失踪状態。

●危険失踪(特別失踪)

震災や船舶の事故、戦争などの特殊な状況で危難が去った時から1年間生死が不明の状態。

▼手続きや届出先は?

生死不明の状態が7年以上(普通失踪)または1年以上(危険失踪)続いている場合、配偶者や推定相続人、財産管理人などが家庭裁判所に失踪宣告の審判を申し立てます。

▼失踪宣告が確定されるとは?

申し立ての後、家庭裁判所の掲示板や官報での公告を行い、(普通失踪の場合6ヶ月以上、特別失踪の場合2ヶ月以上)その後も生死がわからない状態が継続していれば、失踪宣告が確定されます。審判確定後10日以内に市区町村役場へ「失踪届」を提出することで、法律上「死亡と同じ扱い」になりますので相続手続きを開始することができます。
行方不明者を行方不明になった時から7年後に亡くなったものと同等の扱いとします。

失踪宣告確定後、生存が確認された場合家庭裁判所に取り消しを求めることも可能です。

相続人の中に行方不明(失踪)者がいる場合

相続人 行方不明者がいる 相続110番

▼問題点

重要な問題は遺産分割協議がスタートできないという事です。前述でもあるように、たとえ兄弟姉妹、直系の親族であったとしても不在者の代理人になることはできないからです。

▼他の相続人がとる手段

まずは行方不明の3つの度合いから行方不明者がいる場合に遺産分割協議を進めるための方法を参考までにご紹介します。

1: 連絡先がわからず、連絡が取れない。

住所を特定する為に戸籍をたどりましょう。本籍地の市町村で発行している戸籍の附票という書類で、行方不明者の現在の住所を確認します。住所がわかれば手紙や、直接出向くなどして進めていきます。

2: 生存していると思われるが、調べても住所がなく、居所がわからない

1の方法でも、連絡が取れない場合や、戸籍の附票から現在の住所が判明しない場合には、次の段階に進みます。家庭裁判所に不在者財産管理人選任の申し立てを行います。家庭裁判所の許可を得て、この不在者財産管理人が行方不明者の代わりに遺産分割協議に参加することで、遺産を分割できます。

3: 7年以上2の状態が続いていて生死がわからない

前述で紹介したと同様に普通失踪としての手続きを進めることもできます。

被相続人より先に行方不明者が亡くなったとみなされる場合、行方不明者に子がいればその子が相続人(代襲相続)となり、今回の遺産分割協議に参加しなければ、遺産を分割できません。また、被相続人が亡くなった後に行方不明者が亡くなったとみなされた場合には二次相続となるので、行方不明者の配偶者と子に遺産が相続されます。危険失踪も前述同様の手続きで進めます。

▼失踪者が見つかった場合、分割し処分した遺産はどうなるの?

行方不明者がみつかった 相続110番

宣告が取り消された場合でも、

1:失踪者が生きていたことを知らない状態で行った行為(相続財産の処分など)は有効です。また、失踪宣告により直接的に財産を得た者(相続人、財産を遺贈された者、生命保険金の受取人など)は、失踪宣告の取消しにより財産を失う場合でも、その利益が残っている限度で失踪者に返還すればよいとされます。

2:行方不明者の配偶者が再婚している場合、失踪宣告後に再婚した当事者双方がともに失踪者が生存していることを知らなかったときは、失踪宣告が取り消されても前の婚姻関係は復活しないとされています。

※日本では届出が出ているだけで失踪者は83,948人にのぼり、そのうち40代以上の失踪者の割合が約44%を占めております。

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