ちゃんと理解しよう!【相続時精算課税】と併用できない制度がある

2017年10月10日


インタビュー協力:橘 慶太 税理士

前回までのお話はこちらのコラムにて↓

節税にはならない!?【相続時精算課税制度】の使い方に注意

今回は相続時精算課税を使うにあたって気をつけなければならないことについて【相続110番掲載の専門家である橘先生にお話を伺いました。

 

—前回は、相続時精算課税制度は基本、非上場株に使うというお話で終わりましたね。

はい。あと強いて言うと、アパートなどの収入を生むものにも使います。例えば、おじいちゃんがアパートを建て家賃収入を得ているとします。そうすると財産がどんどん増えるので、その分相続税が高くなっていきますよね。そこで相続時精算課税制度を使って、アパートを子どもなどへ贈与します。そうするとアパート本体はおじいちゃんが亡くなった時に戻され相続税の計算がされますが、家賃収入は贈与を受けた人のところに貯まっていきます。

 

—相続のとき、アパート本体のみがおじいちゃんの財産の対象になるのですね。

でもこれには、マニアックな論点があります。先ほどのようにアパート本体を贈与した場合、土地はおじいちゃんのもののままですよね。これは、おじいちゃんの土地に子どもが建物を建てているようなものです。その場合、子どもがおじいちゃんに地代を払っていたりします。これをすると借地権部分の贈与があったとみなされ、大きく課税されるリスク出てきます。

 

—そのリスクを避けるには、どのようにしたらいいのでしょうか?

使用貸借状態を続ければいいのです。間違って地代を払い始めないように、気をつけましょう。

 

—相続時精算課税は、他の制度と併用できますか?

もちろん併用可能な制度はあります

 

—では逆に、併用できないものは?

相続時精算課税制度を使うと、二度と暦年贈与が使えなくなります

 

—それは当事者間に限りますか?

はい。例えばお父さんが相続時精算課税制度を使って息子に贈与をすると、お父さんから息子への暦年贈与はできなくなります。でも、お母さんからなら暦年贈与が可能です。

—ではお父さんの財産を、代わりにお母さんが渡せばいいのでしょうか?あれ?でも確か夫婦の財産は、共有のものという認識だったような・・。

税法上は夫婦の共有財産という考え方はしません。必ず、どちらかの財産と考えます。どちらが稼いだか、で判断します。だからお母さんにへそくりがあるとしたら、それは稼いだお父さんの財産として考えなくてはいけないのですよ。

 

—お母さんに財産を渡したい場合は、夫婦間で暦年贈与をすればいいのかな。でも、どちらが先に亡くなるかなんて分からないですもんね。

相続税を少なくしたいときのテクニックはあります。夫が5億円、妻が1億円を持っている夫婦より、夫が3億円、妻が3億円のほうが節税できるのです。夫婦間に財産額の差がないほうがいいですよ。

 

—では話が変わりますが・・相続時精算課税を使って、失敗したパターンはあるのでしょうか?

この制度はけして得できるものではない、と前にお話しましたよね。それでも世の中には、この制度を使っている人がいます。なんでだと思いますか?

 

—目先の大きな額の贈与ができる点に、踊らされているから?

その考えに近いです。実は、誰かが勧めたんですよ。

 

—不動産屋ですか?

ほぼ正解。一部のハウスメーカーです。なぜ勧めたかというと、親から子への頭金の贈与のためです。

 

—怖い!暦年贈与のほうが良かった、なんて人も多かったでしょうに。

そうですね。相続時精算課税制度を使うと二度と暦年贈与が使えなくなることを、知らない人が多いと思います。ではこの暦年贈与が使えなくなる、というのはどういう意味があると思いますか?

 

—税率が上がるんでしたよね。

はい。相続時精算課税制度を使うと、贈与者ごとに2,500万円までは贈与税がかかりませんしかしそれを超えると、一律20%の税率を乗じて贈与税を計算することになります。

 

—贈与を受けすぎると、有り難迷惑な話になってしまうのだなあ。よく制度を理解してから使わなければいけませんね。

はい。暦年贈与が使えなくなってもいいか贈与する財産に収入が入る要素があるかどうか、この2つが確認するべき大きなポイントです。

 

—では最後の質問ですが、相続時精算課税制度を使うことで増える手間はありますか?

まず単純に、相続が発生したとき戻す作業が必要になります。あとは、亡くなった人の財産に相続時精算課税制度を使ったことを、相続人が知らない場合があります。だから、昔精算課税制度を使いましたか?という質問をしても話が通じないことがあったりします。分からない場合は税務署へ行き、使ったかどうかを調べなければなりません。

 

—それは面倒ですね。そもそも、相続時精算課税制度を使うよ!と申請するのは誰ですか?

贈与を受けた人が税務署へ申告するのがルールです。でも殆どのご家庭は、贈与した人が勝手に手続きをしてしまっているのです。財産をあげた親が、財産を受けた子どもの名前を勝手に使い申告書の提出をした、というケースが非常に多い。制度を使う前に税理士に相談があれば、デメリット含め説明ができるんですけどね。

 
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