節税にはならない!?【相続時精算課税制度】の使い方に注意

2017年10月6日


インタビュー協力:橘 慶太 税理士

今回は相続時精算課税について、【相続110番掲載の専門家である橘先生にお話を伺いました。

 

—相続の話でよく聞く“相続時精算課税制度”はいいイメージがないです。

はい。けして得できるものではなく、節税には使えないのです。

 

—やはり!では、この制度が有効な場合はありますか?

大きく2つのパターンのみあります。1つ目は、元々持っている財産の総額が相続税の基礎控除額におさまる場合。例えば元々4,000万円財産を持っている人が、相続時精算課税制度を使って2,000万円贈与するとします。制度を使っているのでこの時は税金(贈与税)がかからないけれど、亡くなった後2,000万円に対して相続時に精算しなければならない。でも亡くなった方の相続の基礎控除額の上限は4,800万円で、財産合計がそれ以下である。そうすると相続税の支払いの必要がないので、生前に多額の贈与をしたい!という方に有効です。

 

—持っている財産が基礎控除額におさまる額で年間110万円以上の贈与がしたい、という場合ですね。では、もう1つのパターンは?

2つ目は、今後値上がりするものを持っている場合。亡くなった時に計算されるものって、贈与したときの金額なのです。だから低い金額で贈与して、たとえそれがその後値上がりしても計算される基準は低い金額のままだから、その差額が得できます。

 

—値段が上がりそうなマンションや、近くに駅が作られる予定の土地などに使うといいのですね。

そう思うじゃないですか。

 

—え?違いますか?

そのような不動産は、値上がりするかどうかはっきりしていないじゃないですか。だから、不動産ではないです。実は、で使います。でも流通している誰でも買える株って値段が上がるか下がるか予測できないから、不動産と同じだと思いますよね。

 

—非上場株ですか?

それに近いです。自分で経営している会社の株式(自社株)に使うのです。

 

—どのように使えばいいのでしょうか?

あえて一時的に会社の株価をガクッと落とします。そして下がっているときに、いっぺんに相続時精算課税制度を使います。例えば元々の価値が1億円なら、それを2,500万円くらいにして渡してしまう。実際は価値を圧縮しただけなので、もちろん贈与後に価格は元に戻ります

—価値をどのように圧縮するのですか?

これは、僕も業務として行っている【事業承継コンサルティング】の一部です。簡単に言うと利益操作で、会社の業績を悪くします。事業承継コンサルティングをやっている、と名乗る方の多くはこのやり方をしているでしょう。でも、僕はこのやり方があまり好きではありませんね。

 

—では何か別の方法があるのですか?

はい。僕が推奨しているのは“非上場株式等についての納税の猶予及び免除の特例”。これは、株式にかかる相続税や贈与税を80%OFFにしますよ!というものです。でもこれを使うための条件が、細かく沢山あります。渡してから新しい社長が5年間雇用の80%を守り続けなければならない、とか。

 

—リストラできないのですね。

そうです。あとは、M&Aで株式を売却してはいけない、とか。いくつかの厳しい条件をクリアしたら使えます。ある程度規模が大きかったり、しっかりしている会社にオススメしています。

 

—従業員が多い会社は大丈夫そうですね。

はい。10人規模の場合8人未満になってしまったらいけないのか?と思い怖くてできないという方もいます。そのぐらいの規模でトライしている会社もありますけどね。2人からできますよ。

 

—2人から可能?その場合、1人辞めたらアウトになりますよね?

いいえ。平成29年法改正で、元々2人でスタートした会社は1人になってしまってもOKとなりました。先ほど条件が厳しいと話しましたが、緩和されてきています。使う人が増えてきましたが、まだまだ世の中には浸透していないですね。

 

—それは何故ですか?

この制度を理解していない税理士がいるんですよ。だから、オススメする人が少ないのでしょう。この税制を作った経済産業省の中小企業庁が、“非上場株式等についての納税の猶予及び免除の特例”をどんどん使ってね!と推奨していますよ。

 

 

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