特別受益と寄与分の争い《よくある相続トラブル》

2018年12月10日


コラム協力: 加藤 剛毅弁護士 (武蔵野経営法律事務所)

さいたま家庭裁判所にて家事調停官を経験し、2014年から2018年までの4年間で700件以上(相続案件約100件)の事件を処理してきた、「武蔵野経営法律事務所 加藤 剛毅弁護士」に、よくある相続トラブルについてお話しを伺いました。

特別受益と寄与分 よくある相続トラブル

相続が発生した際に、有効な遺言がない場合には通常法定相続分に従って相続財産を分けることになります。しかし、相続人のうち一部の人が、被相続人から遺贈等を受けた者がいる場合については、「特別受益」として、遺産分割において考慮されることになります。また、相続人のうち一部の人が、相続財産の維持・増加に貢献し、「特別の寄与」が認められる場合には、法定相続分に従うと不満の残る分配になります。そこで法律は、「寄与分」という制度を設けています。

1.特別受益とは・・・

▸特別受益とされるケース

①被相続人から遺贈を受けた者。

②結婚や養子縁組のために贈与を受けている者。

③その他生計の資本として贈与を受けている者。

などが存在した場合のその贈与分を特別受益とし、被相続人の遺産に持ち戻して(加算して)各相続人の相続分(具体的相続分)を計算します。

例えばこんなとき

父と長女、長男、次女の家族

父は生前に長女にだけ、結婚資金300万円を贈与。

その後、父は遺産2700万円の残して亡くなりました。

遺言はなく、遺産を法定相続分どおりに分配すると…

長男と次女は、長女に対して少し不満があるようです。

そこで、生前に長女が父から贈与を受けた結婚資金を特別受益とし、被相続人の遺産に持ち戻して各相続人の具体的相続分を計算します。

 

2.寄与分とは・・・

 

相続110番
相続110番

たとえば、一生懸命に家族の介護をしてきた相続人と、何もしなかった相続人の遺産分配も同じになるのでしょうか?だとすると、少し不満が残りそうですね。

加藤弁護士
加藤弁護士

その介護に費やした労力が寄与分として認められるためにはいくつかの要件があり、そのことを立証することが難しいことが多く、遺産分割協議の際に非常に揉めやすくなります。

▸寄与分が認められるためには

[1]主張する寄与行為が相続開始前までの行為であること

被相続人が亡くなった後の行為、例えば、遺産不動産の維持管理、遺産管理、法要の実施などは、寄与分の対象になりません。

[2]寄与分が認められるための要件を満たしていること

要件とは・・・

①相続人自らの寄与があること

②「特別の寄与」であること。

③被相続人の遺産が維持又は増加したこと

④寄与行為と被相続人の財産の維持又は増加との間に因果関係が認められること。

などで、その要件が一つでも欠けると認められません。

▸「特別の寄与」とは

親族間の扶養義務や夫婦間の協力扶助義務など、被相続人と相続人の身分関係に基づいて通常期待されるような程度を超えた貢献をいいます。   

 

▸寄与分が認められるケース(具体例)

被相続人の介護のために、ある相続人が仕事をやめ介護に専念したとします。本来であればデイサービス等を利用し、被相続人の財産が減る事態になっていたところを、相続人の献身的な介護により被相続人の財産の減少を免れたような場合で、且つ、その事実を立証できるような場合。

「特別の寄与」として認められるには、現実にはその立証が大変困難であり、裁判所で寄与分が認められることは少ないと思われます。

 

相続110番
相続110番

加藤弁護士がこれまで担当した案件で、どんなトラブルがありましたか?

加藤弁護士
加藤弁護士

特別受益をめぐり兄弟間での意見が割れ、解決まで長引いてしまったケースがありました。

3.トラブルになってしまったケース

▸特別受益を巡る争い

特別受益についても互いの主張が異なると、揉めるケースが多くなります。実際に起きた事例について、加藤弁護士に聞いてみました。

被相続人:父

相続人:子(兄) 子(弟)のふたり

兄は、父から自宅不動産の生前贈与を受けており、その自宅不動産については遺産に当たらないと主張。弟は遺産に当たると主張し、双方の意見が食い違ってしまいました。

そのため、まず当該自宅不動産が遺産かどうかを確認するための裁判(遺産確認請求起訴)をし、その自宅不動産が遺産に含まれることが確認されたうえで、次に遺産分割調停での話し合いに入りました。結果、自宅土地の分け方をめぐって意見がまとまらず、調停が不成立となって、いったん審判手続に移行したあと、ようやく弟が折れて、再度、手続きを調停に戻し、何とか調停成立にこぎつけることができました。しかし、最終的な解決までに約5年間もの期間を要し、遺産分割についてはまとまったものの、兄弟間の絆は壊れてしまいました。

まとめ

特別受益、寄与分を主張する場合、共同相続人全員の遺産分割協議で定めることになります。遺産分割協議の結果、特定の相続人に本来の相続分を超えて相続させることも可能です。遺産分割協議が調わない場合に、あくまで寄与分を主張する相続人は、遺産分割調停手続とは別に、家庭裁判所に対して、寄与分の審判の申立てをすることとなります

相続110番
相続110番

特別受益、寄与分について主張するだけでなく、誰が判断してもわかるような証拠も必要なんですね。家族の最後に揉めて、みんながバラバラになるのは悲しいですね。

加藤弁護士
加藤弁護士

はじめは意見が割れてしまっていても、調停委員や弁護士という第三者の意見を交えることで、話し合いがスムーズになることもあります。

相続110番
相続110番

当事者だけで話し合いをし、感情的になる前に専門家に相談することも大切かもしれませんね。

 

弊社は、相続をはじめとした様々な問題に対応できる専門家と提携しております。

相続に強い弁護士を探している、相続トラブルに悩んでいる・・

などどんなことでも構いません。

どうぞお気軽にお問い合わせくださいませ。

 

 

相続のお悩み、お気軽にご相談ください。
電話相談の受付時間は平日10:00〜18:00です。