こんにちは、相続110番です。
大切な人を亡くすこと、見送ることは人生でそう何度もあることではないと思います。どこから手を付けて良いのかわからないという方も多いのではないでしょうか。
自分の想いを生前にまとめておくことも、ご家族様のためになるのかもしれません。昨今遺言書ブームですが、自筆証書遺言は開封前に裁判所の検認手続きが必要であったり、相続人が書かれていたということを知らないまま相続手続きが進んでしまったりすることが多いです。また、一部の相続人によって改ざんされる恐れもあります。
今回は7月からスタートする【自筆証書遺言保管制度】についてお話します。
自筆証書遺言について
《自筆証書遺言についておさらい》遺言書には「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の3つがあります。 今回は自筆証書遺言だけをピックアップしますが、詳しくはコチラをご参照ください。
◆自筆証書遺言◆
【作成方法】
遺言者が遺言の前文を日付、氏名等を自書し、押印し作成する遺言書のことをいいます。代筆やワープロでの作成は不可です。※2019年から財産目録についてはパソコンで作成してもOKとなりました。
【証人・立会人】不要
【家庭裁判所の検認】必要
いつでも作成することができ、保管の方法も自由で、費用もかかりません。その反面、書式に不備が発生する可能性が高くなるほか、紛失・改ざん・盗難などのデメリットも大きくなります。
自筆証書遺言保管制度について
法務局による自筆証書遺言保管サービスが令和2年7月10日から施行されます。
自筆証書遺言は自分のよきタイミングで作成し、保管方法も自由で費用が掛からないというメリットがありましたが、反面デメリットも大きいという問題がありました。その問題を解決するには今までは公正証書遺言の作成しかなかったのですが、一昨年の民法改正に伴い、比較的安価で紛失・改ざん・盗難のリスクがなくなる方法として採用されたのが本制度(法務省HP|法務局における遺言書の保管等に関する法律について)です。
※平成30年7月6日、民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律(平成30年法律第72号)が成立しました。(同年7月13日公布)。

自筆証書遺言保管制度の特色
従前では・・・・
遺言者が作成した【自筆証書遺言】は遺言者の自宅や貸金庫などで保管し、遺言書があることを誰かに伝えたり、エンディングノートや手帳などに書き記しておき、遺言者死亡後、遺言書を裁判所で検認手続きを経てから開封するという流れでした。
しかし、前述にも書いたとおり、遺言書事態の紛失、相続人による改ざん、盗難などのリスクも高く、新たな相続争いの原因にもなっていました。
そこで、今回の【自筆証書遺言保管制度】ではどのように変わったのか見ていきましょう!
遺言書保管申請が可能な場所
作成方法などは変わりませんが、遺言者は作成した自筆証書遺言を下記のどこかの法務局へ預けることができます。
遺言書保管所は
・遺言者の住所地
・遺言者の本籍地
・遺言者が所有する不動産の所在地
を管轄する法務局であれば選択することが可能です。(※すでに遺言書を法務局で保管している場合は、同じ法務局での申請になります。)
申請時必要な書類
保管申請の予約日に、遺言者本人が必要書類を持参し手続きを行います。
その際に必要な書類は
・遺言書(ホッチキス止めなどしない)
・申請書(法務省HPよりダウンロード可能)
・本籍地が記載された住民票の写し(発行より3カ月以内のもの)
・本人確認書類(有効期限内のものをいずれか1点)
マイナンバーカード / 運転免許証 / 運転経歴証明書 / パスポート / 乗員手帳 / 在留カード / 特別永住者証明書
・手数料
遺言書の保管の申請手数料は、遺言書1通につき 3,900円がかかります。
法務局へ保管申請された遺言書は、画像データ化したものと原本を法務局にて保管します。
内容を改ざんされたり、遺言書を盗難・紛失する恐れもありません。
遺言者が亡くなった後、相続人からの問い合わせで、遺言書の証明書を相続人が取得・閲覧できるのです。
その際、裁判所による検認は不要です!
利用時の注意点
1.法務局にて保管する際、自筆証書遺言の内容については審査がありません。法務局のHPにも自筆証書遺言書の様式がまとめられていますので、ご参照ください。
2.保管申請時には、必ず遺言者本人が法務局へ訪問しないといけません。
3.保管証は、再発行ができません。紛失することなどのない様、大切に保管しましょう。ただし、保管証がなくてもその後のお手続きは可能なので、安心してください。
4.保管後に遺言書の内容を変更したくなった場合は、すでに保管してある遺言書の保管撤回、返還を受け、新しい遺言書を作成し保管申請をするという流れになります。保管撤回、返還をしなくても新しい遺言書を保管することもできます。

まとめ
今までは、遺言書=公正証書遺言が多かったですが、今回の制度を利用して、自筆証書遺言を残すという選択肢も増えると思います。
1通3,900円で保管申請ができ、全国どこの法務局からも閲覧申請や請求ができるのも相続人が遠方にいる場合など有効だと思います。
令和2年7月1日から予約受付スタートです。
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