相続放棄をしたら逆効果だった!?

2017年9月26日


コラム監修:渡辺 隆之 司法書士・行政書士・相続診断士

今回は最近相談が多くなっている、相続放棄に関するデメリットに焦点を当ててお話しします。

 

相続放棄とは?

誰かが亡くなった時自分が相続人である場合に、債権も債務も一切引き継がない、ということを家庭裁判所に認めてもらう手続きのことです。民法939条に“相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす。”とあります。

 

「親族同士で話し合ったとき、僕はお父さんの財産はいらない!と言った。」

こう話す方がいたら、おそらく相続人全員で遺産分割協議を行って書類に署名、押印したのでしょう。

①相続人同士で話し合っただけで家庭裁判所に認められていない

②一切を放棄したとはいえない(負の財産は相続人同士で均等に分けられてしまう場合がある)

以上の2点が相続放棄と違い、これを【相続分の放棄】といいます。

 

母親に財産全部を相続させるために、相続放棄をした!

ここで、残念なケースをご紹介します。先日、Aさんの父親が亡くなりました。彼に負の財産(借金)は無く、自宅とその敷地(土地)、預貯金を持っていました。遺言書は残していませんでした。この場合、相続する権利があるのはAさん、父親の配偶者であるAさんの母親の2人です。Aさんはちょっと法律をかじったことがあり、相続放棄という制度を知っていました。そして母親を思いやり財産を全て彼女に渡すため、相続放棄の手続きを行いました。無事に手続きを終え、ふっと胸を撫で下ろしたそこへ・・伯父(父親の兄)が出現!そしてAさんの母親に向かって「遺産分割協議をしよう!」・・・え?なんで??

 

法定相続人には順位がある!

亡くなった方が遺言書を残さなかった場合は、民法で定められた人が相続人となります。例に出したパターンに当てはめると、Aさんの父親が遺言書を書かずに亡くなった時点で決まったわけです。このように民法で定められた相続人を法定相続人と呼び、それには優先順位がついています。

第1順位 配偶者と子

第2順位 配偶者と直系尊属

第3順位 配偶者と兄弟姉妹

最初は第1順位配偶者と子、今回でいうとAさんの母親、Aさんの2人が相続人でした。ここで相続放棄の条文をもう一度見てみましょう。

相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす。”

これは、相続放棄をした人を最初からいなかったものと考える、という意味です。相続放棄をしたAさんが最初からいなかった=子がいない・・となると第2順位配偶者と直系尊属、しかし親はとっくに亡くなっている・・だから第3順位配偶者と兄弟姉妹。これが、いきなり伯父が登場した理由です。

母親を安心させるどころか、逆効果に!!

Aさんは相続放棄ではなく、【相続分の放棄】をすべきでした。つまり母親と遺産分割協議をして“母に全部相続させる”と決めれば、Aさんの思惑通りだったのです。しかし相続放棄をしたために、第3順位の母親と伯父の協議が必要になってしまいました。この2人の話し合いがすんなりつけばいいのですが、仲が悪かったり疎遠状態だと困難を極めます。そして伯父は財産総額の1/4を主張する権利があるので、母親が財産全てを貰えない可能性は十分あります。相続放棄をきちんと理解していないと、このようなことが起こるのです。

 

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