自宅を相続する場合の相続税はどのくらい?小規模宅地の特例を利用しよう!

2019年5月24日


現在の自宅の相続税ってどれくらいかかるの?

ご相談

自宅の相続について、将来、都内S区にある両親の自宅を相続する事になると思います。土地の評価額が上がっているので、相続の対策を早めにしたほうが良いと親族に言われました。自宅にはどのくらい相続税がかかるのか知りたいです。

回答
ご実家(自宅)を相続される予定という事ですね。
まずは自宅の評価額を算定しましょう。そしてその評価額をもとに相続税がいくらかかるのか算定していきます。
相続税には、自宅の土地に多額の相続税がかかり、納税のためにやむを得ず自宅を売却するという事態をさけるための規定、「小規模宅地等の特例が設けられています。
この特例を適用できるかどうかも合わせ確認しましょう。



   基礎控除額と自宅の相続税評価額の計算方法  

基礎控除額の計算方法についてはこちらのページをご覧ください。
基礎控除額の計算方法

相続税評価額の計算方法についてはこちらのページをご覧ください。
相続税評価額の計算方法

 

 

小規模宅地等の特例とは

被相続人と一緒に住んでいた土地(宅地)を相続したのであれば一定の要件を満たす宅地については、土地(宅地)の評価額を最大80%減額するという特例です。
この特例の大きな特徴は、土地の評価額を下げることで、特例を適用しないときと比較して納める相続税が大幅に減額されることです。
そもそもこの特例が設けられた背景には、相続人にとって生活基盤を維持する重要な財産である、居住用の土地や、事業を継続するための土地を守ることにあります。
通常の評価額で相続税が課税されると相続税額が高額になり、家に住み続ける、あるいは事業を続けることが困難になるかもしれません。
こうした事態を避けるため、一定の要件を満たせば評価額を減額するという措置がとられているのです。

 

土地の評価が下がってしまうと売却するときに不利では?

この特例を適用することで、土地(宅地)そのものの価値が変わることはありません。
あくまで、相続税の計算上「土地の評価額を下げる」だけで、実際の土地の財産上の評価には何も影響を与えません。
相続税は、相続財産(不動産・現金・金融資産・生命保険等)から、負債や非課税財産、基礎控除額を差し引いた金額をもとに計算していきます。

 

どんな土地に適用される特例なの?

小規模宅地等の特例の対象となる土地(宅地)は以下のとおりです。

どんな土地 種類 適用面積 評価減
自宅 特定居住用宅地 ~330㎡ 80%
工場・お店など 特定事業用宅地 ~400㎡ 80%
不動産貸付業・駐車場業など 貸付事業用宅地 ~200㎡ 50%
被相続人やその親族が一定の割合の株を持つ会社が事業を行っていた土地(不動産貸付業を除く) 特定同族会社事業用宅地 ~400㎡ 80%

 

亡くなられた方(被相続人)のご自宅において「小規模宅地等の特例」の対象となる土地は、相続開始直前まで住まいとして使用されていることが条件となります。
そして、いずれの場合も建物や構築物がなければならず、更地の状態では適用を受けることができません

 

特例を適用できる要件

この特例を適用して相続する場合に、適用が受けられるご家族が決められています。
誰もが小規模宅地等の特例を適用して80%減額できるわけではない点に注意しましょう
また、被相続人のご自宅(特定居住用宅地)は2種類に分けて考えられます。
一つは「被相続人が住んでいた自宅」、もう一つは「被相続人と生計を共にする親族 ※1が住んでいる自宅」です。
対象となる2種類の宅地について、相続人と適用の条件をまとめましたので確認していきましょう。

※1 修学、勤務等のために日常的には同居しておらず、生活費、学費、療養費などの送金が送られている場合など。
親族とは、6親等以内(またいとこまで)の血族、配偶者、3親等以内(曾祖父母、叔父叔母、甥姪まで)の姻族のことを指します。
なお、生計を一にしているかどうかを判断するための基準は相続税法にはなく、下記の所得税法の基準を使って判断します。
国税庁HP|所得税法基本通達2-47

■被相続人が住んでいた自宅

 その1 配偶者・同居の親族がいる場合
配偶者 無条件で適用される
※事実婚関係の場合は適用外
被相続人と同居の親族

適用される

非同居の親族(いる) 他に被相続人と同居の親族がいる場合は適用外

 

 その2 配偶者・同居の親族がいない場合
配偶者 以前死亡
被相続人と同居の親族

いない

非同居の親族 「家なき子」の要件を満たす場合に適用可

 

■被相続人と生計を共にする親族が住んでいる自宅※2

 その1 生計に共にする親族がいる場合
配偶者 無条件で適用される
被相続人と生計を共にする親族

以下の要件を満たす場合に適用可
1.被相続人の死亡前から相続税の申告期限まで引き続きそこに居住すること
2.その宅地を相続税の申告期限まで保有していること

 

※2 被相続人の所有している宅地と家屋に生計を一にする長男が居住していた場合など(親子の間で地代や家賃のやりとりはなし)

  「家なき子」の要件とは  

家なき子特例とは非同居(被相続人と同居していなかった)の親族であっても以下の6つの要件を全て満たせば小規模宅地等の特例が受けられるという制度です。この制度は平成30年の税制改正により要件の追加がありました。
改正前と改正後の要件を以下にまとめていきます。

 

 改正前(~2018年3月31日)
[1]被相続人に配偶者・被相続人と同居の親族がいない
[2]土地を相続した親族は相続開始前3年以内に「自己または自己の配偶者」所有の家に居住していない
[3]相続した土地を相続税の申告期限まで保有する

 

 改正後(2018年4月1日~)
[1]被相続人に配偶者・被相続人と同居の親族がいない
[2]土地を相続した親族は相続開始前3年以内に「自己または自己の配偶者」「三親等以内の親族」「※1 特別の関係がある法人」所有の家に居住していない
[3]相続した土地を相続税の申告期限まで保有する
[4]相続開始時に居住している家を過去に所有していたことがない

 

しかし、この税制改正は納税者に不利な点があることを考慮し、平成30年3月31日(2018年)時点で改正前の要件を満たしている場合には、令和2年3月31日(2020年)までに発生した相続に限り、改正前の要件をもって「家なき子」特例が認められます。
※1 親族が経営する不動産会社所有の家に住んでいる場合など

二世帯住宅に住んでいるまたは、被相続人が施設に入居している場合

この特例を適用しようとする自宅が二世帯住宅の場合や、被相続人が施設に入居している場合には注意が必要です。

    二世帯住宅の場合  


「特例を適用できる要件」の表によれば、被相続人が住んでいた自宅を同居の親族が取得する場合には、小規模宅地の特例が適用できるとあります。建物の構造、区分所有登記の有無によっては適用されない場合があるため注意が必要です。

■特例が適用される二世帯住宅
建物内部で行き来ができるような構造の建物で、区分所有登記が無い場合は特例が受けられます。


■特例が適用されない二世帯住宅
渡り廊下で繋がっているだけで、1棟1棟が別々の建物の場合や、土地と1階部分は親の名義、2階部分は子の名義のように区分所有登記がある場合は「同居」とは認められず特例を受けられません。

   施設入居の場合  

2013年までは、被相続人が老人ホームに入居中に亡くなった場合、自宅が「亡くなる直前に被相続人が住んでいた宅地」に該当せず、小規模宅地等の特例の対象外となっていました。
しかし、法改正があり、2014年からは以下の要件を満たせば、老人ホームに入居していた被相続人の所有する自宅も特例が適用できるようになりました。

 

 被相続人が施設に入居していた場合
[1]被相続人が要介護者認定または要支援認定を受けている
[2]被相続人が施設に入居後に自宅を親族以外に賃貸していない
[3]入居する施設が都道府県に届け出をしていない施設でないこと

 

 

相続税は土地の評価によって影響を受ける

平成28年分の相続税の申告状況について|国税庁 によると、相続財産の金額の構成比は、土地38.0%、家屋5.5%、現金・預貯金等31.2%、有価証券14.4%と土地の占める割合がもっとも高いことがわかります。
また、社会生活統計指標|社会・人口統計体系 / 社会生活統計指標-都道府県の指標-2019 によると、2013年の日本の持ち家比率は61.7%と半数を超えており、最も持ち家比率の低い東京都でも45.8%と高く、相続の際に不動産が関係してくることが高いことがわかります。
よって、被相続人(亡くなられた方)名義の土地の評価が低くなると、相続財産が減ったことと同様に扱うことができ、その結果大きく相続税が減額されたり、納税が不要になったりする場合があります。

(付表5)相続財産の金額の構成比の推移

自宅や土地が適用されるか確認しましょう。

以下のフローチャートに従って、特定居住用宅地が適用されるか確認してみましょう。

特定居住用宅地が適用されるか確認するフローチャート

実際の適用に関しては設けられている条件を確実にクリアしているかどうか適切に判断する必要がある為、あくまで目安としてください。
判断に迷う場合には、相続に強い税理士にご相談いただくことをおすすめします。

 

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