相続税の申告時の注意点について 相続の基礎知識

2019年2月13日


相続税申告の全体の流れ

相続税の申告および納税までの手続きは、一般的に以下のような流れで進めていきます。

 

 

遺産全体の把握については
相続財産の種類 相続の基礎知識
をごらんください。

 

申告と納付の期限について

相続税の申告および納税期限は、相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヶ月以内と定められています。(この期限が土曜、日曜、祝日などの場合、これらの日の翌日が申告期限となります。)

期限
相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヶ月以内

なお、遺言がない場合相続人全員で遺産分割協議をしなければなりません。この期限は、被相続人が亡くなってからの様々な手続きをする上では、あっという間に過ぎてしまいます。

仮に、相続税申告期限内に相続人同士で遺産分割協議が完了しない場合でも、この期限までに相続税申告・納付を必ず行わなければなりません。

注意
遺産分割協議が完了しない場合でも必ず期限内に申告が必要

期限までに遺産分割内容が決まらない

遺産が未分割の場合、「法定相続分どおりの遺産分割」として、一旦相続税申告を行なうことが一般的です。

相続税申告の期限までに申告および納付を「法定相続分どおりの遺産分割」で行い、その後、実際に確定した遺産分割内容で修正申告および、納付が必要であれば納付を行ないます。相続人同士で揉めてしまい、話し合いがまとまらないからといって相続税申告をしないでいると、無申告加算税等の対象になり更に高額の税金を納めることになるので注意が必要です。

 


相続税申告の必要書類

相続税申告書に添付する書類は数多くあります。添付書類なしでは相続税申告をすることができません。相続する財産の価額を証明するため多くの書類が必要となります。
相続税申告書を作るためには、必要な書類を集め、その内容を確認しながら相続税申告書に記入していきます。
下記の項目に沿って必要となる書類を把握しましょう。

1.通常必要となる書類
2.現金・預金に関するもの
3.土地・建物に関するもの
4.その他の財産に関するもの
5.葬式費用・債務に関するもの
6.特例を利用する場合

必要な書類と集め方については、
申告に必要な書類と集め方 相続の基礎知識
をご覧ください。

相続税申告をしないとどうなる

相続税の申告を怠った場合、通常の相続税納税に加えて、以下3つの重いペナルティが課されることになります。

期限
1.無申告加算税
2.延滞税
3.重加算税

これらのペナルティは税率が高く、さらに、無申告加算税と延滞税、重加算税と延滞税は、同時に課されます。

1.無申告加算税

無申告加算税は、申告期限までに申告をしなかった場合に課される税金です。現行の税率としては以下のとおりです。(平成29年1月1日以降)

 

・相続税額のうち50万円以下の部分
税務調査の事前通知前に
自己申告した場合→5%

税務調査の事前通知後に
自己申告した場合→10%

税務調査を受けてから
申告した場合→15%

・相続税額のうち50万円超の部分
税務調査の事前通知前に
自己申告した場合→5%

税務調査の事前通知後に
自己申告した場合→15%

税務調査を受けてから
申告した場合→20%

なお、過去5年以内に相続税の無申告加算税や重加算税を課せられた経験がある場合は、悪質行為とみなされ、上記税率に更に10%を加算、50万円以下の部分は25%。50万円を超える部分は30%となります。

2.延滞税

延滞税は、期限までに納めなかった税金に対して課されます。
現行の税率としては以下のとおりです。

申告書の提出日翌日から起算して2ヶ月以内
→年2.6%

申告書の提出日翌日から起算して2ヶ月以後
→年8.9%

※上記割合は、平成30年1月1日から平成30年12月31日までの期間の場合です。
割合はその期間によって異なります。詳しくは下記をご覧ください。
国税庁 タックスアンサー No.9205 延滞税について

3.重加算税

 

重加算税は、課税を免れるために財産を隠す、または証拠書類を偽装する等、特に悪質な場合に課税されます。

無申告でかつ、上記例のような悪質行為があった場合は、無申告加算税や延滞税に加えて、重加算税(相続税額の40%)が課税されます。

なお、相続税の申告期限が平成29年1月1日以後で、過去5年以内に同様の相続税無申告等による重加算税を課せられたことがある場合は、悪質行為とみなされ、税率が10%加算され50%となります。

人が亡くなると死亡届を役所に提出しますが、この情報は税務署に通知されます。税務署は被相続人の不動産の情報と過去の確定申告などから財産の概要を把握しています。税務署には強力な調査権限があり被相続人の財産内容や個人の預金口座の情報まで、本人の許可なく強制的に調査をすることができます。

そのため、相続税の申告をしなければ、税務署には必ずばれると考えたほうがよいでしょう。

自分で相続税申告する場合

相続税申告を税理士に依頼せずに自分で行うことはできます。ただし、複雑な相続税申告の場合、税理士に依頼をせず自分で対応してその申告に間違いがあるとペナルティのリスクもあるため注意が必要です。

以下の3通りのケースごとに見ていきましょう。

1.税理士に依頼しなくても自分でできるケース
2.税理士に依頼した方がいいケース
3.自分でするか、税理士に依頼するかの判断に迷うケース

相続税申告書は第1表~15表まであり、財産の内容や特例の利用状況によって作成の難易度が大きく異なります。

国税庁 相続税の申告書等の様式一覧(平成30年分用)

作成の難易度が低いケースであれば、税理士に依頼しなくても自分で相続税申告をすることができるでしょう。
では、難易度が低いケースの具体例を見ていきましょう。

 

1.税理士に依頼しなくても自分でできるケース

1.遺産の中に不動産がない場合

相続税申告書を作成する作業の中でも難易度が高い作業が土地の相続税評価です。専門家である税理士でも経験によって評価額に差が生じやすいとされています。

これは土地が様々な形状をしており(形がいびつ、墓地の近くにある等)、これらの要因を評価に反映させる点に専門的な知識や経験が必要になるためです。

2.遺産総額が5,000万円以下であるような場合

相続税は遺産総額が増加するにつれ相続税額も大きくなります。そのため、相続税申告額を間違えた場合のペナルティや特例適用忘れ等によるリスクが大きくなってしまいます。

しかし遺産総額が5,000万円以下の方であれば相続税額も大きくならないため、万が一自分で申告をして間違えてしまってもペナルティや追徴税額が少なくなるでしょう。

 2.税理士に依頼した方がいいケース

1.不動産が複数あるまたは不動産の評価が高い

遺産の中に不動産が複数あるケースや不動産評価額が高い場合には、税理士でなければ土地の評価を行うことが難しくなります。特に不動産の相続税評価額が高くなるような場合には、些細なミス等で相続税を払い過ぎてしまうリスクがあるので気を付けなければなりません。

2.遺産総額が1億円以上

遺産総額が1億円を超える場合、相続税も百万円、千万円単位と高額になります。この場合にミス等があるとペナルティ額や追徴税額も大きくなってしまいます。

上記の2つの例のような場合には、自分で対応せず税理士に依頼することをおすすめします。

3.自分でするか、税理士に依頼するかの判断に迷うケース

・遺産総額が5,000万円~1億円以内

・相続する不動産の個性が強くない(例:正方形の土地の自宅等)

上記のような場合、不動産の評価もさほど難しくなく、相続税のペナルティのリスクもそこまで大きくありません。

しかし、控除や特例の適用により相続税をゼロ円近くまで下げることができる可能性もあります。自分で対応する前に、一度税理士に相談してから検討してみるのも良いと思います。

また、税理士に依頼した場合、申告時に税理士資格がなければ提出できない「書面添付制度」を利用することができます。「書面添付制度」とは、担当の税理士が「この申告書に嘘はありません」と内容を保証する書面を提出する制度です。この制度を利用することにより、税務調査に入られるリスクを軽減することができます。また、税務調査が必要になった場合でも、この制度を利用していれば、税理士だけが税務署に呼ばれ相続税申告内容の確認をし、疑惑が晴れればそこで終わるケースもあるようです。

※書面添付制度を利用していない税理士もいますので、税理士に依頼する場合には事前に確認するほうが良いでしょう。

税務調査について

一口に税務調査といっても、相続税だけが税務調査の対象となるわけではありません。相続税以外にも、所得税や法人税なども税務調査の対象となります。しかし、相続税の場合は税額が高額になることが多いため、税務調査が入りやすいといわれています。その割合は相続税申告全体の20~30%と、法人税において毎年全法人の6%程度しか税務調査を受けないことと比べると高い確率だということがわかります。

税務調査はいつ頃行われるのか

税務調査は相続税申告書の提出後1年~1年半後に行なわれることが多いとされています。しかし、2年後、3年後に税務署から連絡がくることもあるので注意が必要です。

税務調査は、突然家にやってきて行なわれるものではなく、かならず事前に連絡が入り訪問日程の調整を行います。それまでに、相続税申告書に記載された財産の内容がわかる資料の準備や、税理士に税務調査の立ち合いを依頼する必要などがあります。

※申告書の作成を税理士に依頼していない場合でも、税務調査の立ち会いのみを依頼することはできます。不安な場合には、税理士に相談することをおすすめします。

税務調査はどんなもの?

「税務調査=悪いこと」という印象があるかと思いますが、そんなことはありません。あくまで税務署は、被相続人の財産がどのように相続されたのかということを調査しているだけなのです。また、税務調査は任意調査のことが多くあります。しかし、だからといって税務調査を断ることは難しく、非協力的な態度をすれば怪しまれる可能性もありますので、協力的な対応で臨むほうが良いでしょう。

税務調査に入られやすい家庭

5件に1件の割合で行われる税務調査ですが、その対象になりやすいのが、遺産総額が高額な家庭です。具体的な金額としては、3億円以上の資産をお持ちの方が亡くなった場合には、税務調査の対象になりやすいと言われています。遺産総額が高額になれば、評価しなければいけない財産も増え、その分評価額の計算ミスが生じるだろうといった具合で、税務調査の対象になりやすいとされています。

バレないだろうという考えは危険

税務署は独自の権限で被相続人が所有していた不動産や預貯金・株式・生命保険の加入歴や、年収まで把握することができます。バレないだろうという考えは大変危険です。税務署からお尋ねの書面が届いたら、まずは、税理士に相談することをおすすめします。

相続税の時効とは

相続税の時効は、相続税の法定申告期限から原則5年です。すなわち、5年間、税務署から何も言われなければ税金を払わなくてもよいのです。

なお、相続税の法定申告期限は、被相続人が亡くなった日から10ヶ月なので、被相続人が亡くなった日から5年10ヶ月を経過すると、相続税を納める義務がなくなります。

故意に無申告だったような悪質なケース

相続税の申告義務があることを知っていて故意に無申告だった悪質なケースの場合、相続税の時効は7年となりますので注意が必要です。

つまり、「相続税の申告・納税には時効があるから、5年間は相続税を納付する必要があることを知らなかったということにしよう!」という場合には、悪質なケースとみなされ、時効は7年と長くなります。

また、法律で決められていることは、すべて理解しているという前提があります。例えば、「預金2億円を相続したが、相続税申告をしなければならないとは知らなかった」などという言い訳は通用しません。

相続税の納付を免れることはない

不動産を所有していた人や、株取引をしていた人等、容易に財産調査が可能な遺産があるような相続のケースでは、相続税の時効援用をすることは不可能に近いでしょう。税務署には、強力な調査権限があり、被相続人の財産内容や、相続人個人の預金口座等の情報を本人の許可なく強制的に調査することができます。計上漏れの財産が見つかった、または、申告をする必要があるか分からない場合には、一度税理士に相談しましょう。

まとめ

相続税に関する相談は、税理士が良いでしょう。しかし、税理士なら誰でも良いというわけではありません。税理士にもそれぞれ得意分野があり、相続税申告を一度も行ったことがない税理士も多くいます。

相続税申告の経験がない、または少ない税理士の場合、土地の評価減ができる箇所を見落としてしまい、納税額が高くなってしまうことがあります。相続の相談や依頼をする場合には、相続税の申告経験が多い税理士を選ぶようにしましょう。

医者に、内科、外科、心療内科等専門分野があるように、税理士をはじめとした専門家にも、専門分野があります。相続税は特に専門性の強い税務となります。弊社は相続税申告に対応できる専門家と提携しております。
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