遺言執行者って何をする人?誰がなるの?

2017年5月1日


遺言執行者とは?

遺言に書かれている被相続人(亡くなった方)の遺志や内容を実現するために、相続に必要な手続きを進めたり、権限の範囲内で相続人や受遺者の代理行為をすることや、遺言執行に伴う一切の行為をする権限が法律によって与えられている立場の人のことです。

遺言執行者の指定がされている場合、相続人であっても遺言の執行を妨げる行為はできず、仮に遺言執行者を無視して遺言の内容とは違った方法や割合で相続財産を処分したときには、その処分が法的に無効になることがあります。また、遺言の内容に納得できない相続人がいて揉めたとしても、遺言執行者を指定しておくことで手続きがスムーズに行えるので、相続人の間で相続手続きの押し付け合いもなくなります。

たとえば、通常、不動産の名義変更(相続登記)をする際には相続人全員の印鑑証明書が必要となるのですが、相続人の中にその名義変更について反対している人がいる場合、協力してくれず印鑑証明書が揃わないため名義変更ができない!ということがあります。しかし、遺言執行者を指定していると、遺言執行者の印鑑証明書のみで名義変更が可能となるのです。

 

遺言執行者はどのように選ばれるのか?

遺言の執行においてこのような権限を持った遺言執行者は、どのように選ばれ指定されるのでしょうか?

指定される方法は主に3つで、1つ目は被相続人が遺言で遺言執行者を指定している場合、2つ目は被相続人が生前に遺言執行者の指定を任されている人がいて、被相続人の死後、その人が遺言執行者を指定する場合、3つ目は家庭裁判所に相続人や受遺者などの利害関係者が申立てた場合です。

家庭裁判所に申立てる理由としては、遺言で遺言執行者の指定がなく遺言執行者が必要な場合や指定された遺言執行者が就任を辞退した場合、指定された遺言執行者がすでに他界している場合などの理由があげられます。遺言が存在しても、内容によっては遺言執行者の指定の必要がない場合もあるので、何か手続きが必要になる場合は、その手続きをする各機関に確認をしてみてください。

また、遺言執行者は複数人指定することも可能です。遺言執行者の一人が亡くなっていた場合でも、複数人指定していれば対応できます。しかし、登記の名義変更や預貯金の解約等の手続きをするために全遺言執行者の署名・捺印が必要となるので、手間が増えてしまうことも考慮しておかなければなりません。

 

遺言執行者の権限

遺言執行者ができる行為としては、①認知の手続き、②遺言に書かれた相続人の排除手続き、③遺言に書かれた相続人の廃除の取消手続き、④信託等による法人の設立手続き、⑤遺贈・遺産分割方法の指定、⑥寄付行為、⑦不動産等の名義変更手続き、⑧預貯金等の解約・払い戻し、⑨祭祀承継者の指定などが挙げられます。

①~③においては遺言執行者のみに与えられた権限のため、遺言にこれらの内容が書かれていて遺言執行者の指定がない場合は、ただちに家庭裁判所へ申し立てを行わなければなりません。

④~⑨に関しては、相続人での手続きが可能なので遺言執行者の指定や申立てをする必要はありませんが、もし遺言執行者の指定があった場合にはこれらの行為に関しても遺言執行者が請け負うことになります。

 

遺言執行者が必要ない場合

上記の遺言執行者の権限で述べた①認知の手続き、②遺言に書かれた相続人の排除手続き、③遺言に書かれた相続人の廃除の取消手続き、この3つの内容が含まれていない場合は遺言執行者を指定する必要はありません。しかし、遺言の内容を公平な立場で確実に実行してくれる遺言執行者を指定しておくことは、相続人や受遺者の間に起こるトラブルを防ぐこともできるので、遺言を書く際は検討してみることを推奨します。

 

遺言執行者になれない人、なれる人とは?

遺言執行人になれない人は未成年者、破産者に該当する人で、これは遺言で指定を受けていても遺言執行者になることはできません。遺言作成時に未成年であっても、被相続人の死亡時点で成人していれば遺言執行者になることはできます。破産者の場合も理屈は同じで、遺言作成時に破産者でなくても、被相続人の死亡時点で破産者となっていた場合には遺言執行者になることはできません。

遺言執行者には未成年・破産者以外の人であれば誰でもなることができるので、相続人でも遺言執行者になることは可能で、必ずしも第三者である必要はありません。

しかし、利害関係人である相続人や受遺者が遺言執行者となる場合、私情が入るので他の利害関係人との対立・確執などが起こり揉めるケースや、遺言の内容を実現することで相続人の利益が減る結果となることもあるので、利害関係のない第三者や弁護士・司法書士・信託銀行などの専門家に依頼することが望ましいでしょう。

 

自分が遺言執行者に指定されたら・・・

遺言執行者に指定されたら任務を断れるのか引き受けるのか、どんな仕事をしなければならないのか、途中で辞めることはできるのか・・・様々な疑問が沸いてきますよね。一つ一つ解説していきます。

 

遺言執行者の任務を断りたい

遺言執行者に指定された場合、相続が開始されると遺言執行者として任に当たるのか、断るのか決めます。この時点で理由に制限はないので、どのような理由であっても断りたい場合は断ることができます。また、断るまでの期間は明確に定められていませんが、相続人や受遺者から遺言執行者になるか否かの催告をされても返答をしない場合には、遺言執行者になることを承諾したものとみなされますので、断る場合は早めに返答をした方がよいかと思います。

 

一度引き受けたが、途中で辞めたい

遺言執行者を一度引き受け遂行していたが途中で辞めたい場合、正当と認められる事由がない限り辞めることはできません。

正当な事由として、長期間の病気、遠隔地への出張・引越し、相続人との調整失敗等による遺言執行が困難など、客観的に遺言執行が困難と認められる場合とされています。辞任したい場合は、相続開始地の家庭裁判所へ辞任許可の審判を申立て、辞任理由が正当かどうか判断され、申立てが認められると辞任することができます。また、報酬が理由で辞任したい場合は、報酬付与審判を申し立てることもできます。

遺言執行者を一度引き受けると辞任することは大変難しくなるので、引き受ける際には良く考えて決断しなければなりません。

 

遺言執行者が仕事をしてくれないので辞めてほしい

遺言執行者が任務を怠った場合や長期間の病気、遠隔地への出張・引越し、一部相続人への肩入れなどにより円滑な遺言執行が期待できない場合には、相続人や受遺者は家庭裁判所へ遺言執行者解任の審判の申立てをすることができます。申立てをした後、解任理由が正当かどうか判断され、認められると遺言執行者は解任されます。また、解任後に遺言執行人が新たに必要な場合は、家庭裁判所に遺言執行人の選任の申立てをしなければなりません。

 

遺言執行者は報酬が発生するの?

遺言執行者の報酬は必ずしも必要というわけではありません。また、相続人や受遺者のような利害関係者の場合は特に報酬を定めなくても依頼できますが、遺言執行者の仕事は大変負担の多い任務なので、辞退や辞任を回避するためにも、何らかの報酬を定めることが通常のようです。

報酬額については、遺言に報酬の記載があればその内容に従って支払います。遺言に報酬に関する記載がない場合は、相続人・受遺者との協議で話し合うか、遺言執行者が家庭裁判所に申立てをすることで報酬を受け取ることができます。家庭裁判所では相続財産の額や遺言執行者の手続や執行行為の難易度などを考慮して算定されます。

また、弁護士や司法書士、信託銀行などの専門家に遺言執行者を依頼する場合は、当然に報酬が発生します。基本的には基本手数料+インセンティブ(相続財産の価値により変動)の場合が多いようですので、各専門家や金融機関にお問合せをして確認をすることが大切です。

 

遺言執行者の仕事内容とは?

遺言執行者を引き受けた方はまず①相続人・受遺者全員へ遺言執行者に就任した旨を通知、②被相続人の遺産の調査をして財産目録を作成、③財産目録を相続人・受遺者へ交付、④遺言書に子の認知の記載がある場合には、遺言執行者就任から10日以内に約書へ届出、⑤遺言書に相続人の排除・排除の取消の記載がある場合には、家庭裁判所へ手続きをする、⑥その他遺言内容に沿って手続き・執行する、⑦業務が終了したら相続人や受遺者全員に通知をする、などです。

⑥その他遺言内容に沿って手続き・執行する内容としては相続人の戸籍等証明書収集、法務局に対する登記申請手続き、各金融機関に対する解約・払戻しの手続き、株式や不動産等の名義変更手続き、遺産の換価手続きなど多岐に亘ります。これらの手続きは役所や金融機関などで行うものが多く、平日の日中の時間が必要になるだけでなく、専門知識も必要となってくるので、遺言執行者に指名された際は良く考えてから引き受けることが大切です。また、遺言執行者を指定しようと考えている方は候補者に事前に了解を得ておくか、相続に詳しい専門家に依頼することも選択肢の一つとして考えておかなければなりません。

遺言を検討している方で、遺言の内容を確実に行ってほしいと考えている方は、遺言執行人の指定をすることを推奨します。しかし、相続人や受遺者である利害関係人が遺言執行者となると、他の相続人や受遺者から反発や対立が起き、争いへと発展しかねないので、利害関係のない第三者や専門家へ依頼しておく方がいいかもしれません。

 

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