孫への相続が大流行?!理解しておくべき4つの項目

2015年6月23日


孫への相続・贈与が空前の大ブーム?!

2015年の相続税制改正を機に銀行・証券会社をはじめ、多くの金融機関が相続対策に関連した商品を打ち出しています。2015年6月の報道では3月末日の「遺言代用信託」の契約が10万件を超えるという事態が起こっています。最後の大仕事として考えている方も多く、「スムーズにかつ、特例や控除を最大に活用し、いかに多くの資産を子や孫の代に残すか」という課題にマッチした金融機関の商品ともいえます。

出生率(グラフ:国立社会保障・人口問題研究所より引用)

そんな中、子への相続しか考えがなかった方たちも、法定相続人の平均人数も減ったことにより、当然、孫への相続、贈与を考える時代になってきているといえるでしょう。

グラフで見る第1・2回調査でわかるように60代~70代の方たちは兄弟姉妹が4人5人という事で、法定相続人が多く、孫の代への相続が考えられる事もありませんでした。日本の出生率は50年近く、一夫婦あたり2人以上の子どもの時代が続きましたが、2010年以降はついに2人の大台をきり出生率も低迷状態です。

法定相続人が減るという事は人数に応じた基礎控除額も下がる事は当然であり、相当な資産家であれば微々たる控除額の違いかも知れませんが、一般家庭で様々な節税を考える上で孫の登場が欠かせなくなってきているのです。

現代の30代後半(第6回調査)あたりからは一人っ子の家庭も珍しくない時代に突入し、一人っ子に孫が生まれたとなれば、祖父母の溺愛ぶりも一極集中となるのです。可愛い子や孫に少しでも多く資産を遺したいと考えるのも当然ですね。

では、孫への相続はいったいどういうものか、そして孫へ生前にできる対策を4つの項目に分けてご紹介してきたいと思います。

Ⅰ あなたの孫は法定相続人なのか?

相続と考えたときに、一番に取り掛かることは「法定相続人の確認」です。被相続人の配偶者は常に相続人となり、その他の順位は①子→②両親→③兄弟姉妹となります(下図参照)

1法定相続人

残念ながらごく一般的な相続では孫は法定相続人にはならないという事です。孫が法定相続続人となるケースがありますが、それは代襲相続となる下図のような場合です。

法定相続人2

孫よりも先に子が亡くなっている場合は代襲相続となり、第一順位として相続する事になります。この場合でも法定相続分は子②と同じ立場となります。

トラブル注意

代襲相続が発生した相続人は孫は自身の”おじ”や”おば”と相続に関わることになります。親戚とはいえ目上の立場の方と遺産分割協議をする事になり、孫としては主張がしにくい問題も生じます。

また、おじ・おばに代襲相続の知識がなく、孫は相続しないという考えだった場合、「聞いていなかったし、相続分が減るではないか。」という感情になる事もあり、遺産分割に関してトラブルが発生しやすいともいえるのです。

【結論】孫は法定相続人なのか?

上記の説明の通り、代襲相続で法定相続人となりますが、それ以外の場合は遺言書やその他の手続きをふまないかぎり、孫は相続することはできません。

Ⅱ 孫に相続をさせるなら?

法定相続人になりえない、孫を法定相続人する方法は以下の2つの方法です。各手段のメリットとデメリットもあわせてご紹介します。

①代襲相続

先にご紹介したとおり、代襲相続の場合、孫は第一順位の相続人として相続する事が出来ます。

●孫の代襲相続のメリット

▼特別な手続きを必要としなくてもよい。遺言がなくても法定相続人の地位は変わらないため、家庭裁判所などへの申述も必要ない。

●孫の代襲相続のデメリット

▼孫に相続をさせたくとも代襲相続という状況を被相続人が作り出すことはできない。(子が存命であれば代襲相続は発生しない為)

▼遺産分割では孫も法定相続分通りとなる。

▼特定の孫への相続はできない。

万が一遺言書がない場合でも孫の法定相続分は守られる為、安心することができますが、特別に相続分を指定したい孫がいたとしても、遺言書がない場合あくまでも法定相続分での遺産分割となります。孫が2人3人といれば、代襲する親が相続するはずだった相続財産を人数で割ることになります。

②養子縁組

孫を養子縁組をする事で、戸籍上「子」となり、第一順位の法定相続人として孫は相続する事ができます。この場合実際の親との関係も変わりません。

●孫の養子縁組のメリット

▼特定の孫に相続させることができる

▼2次相続で相続税を軽減できる可能性がある

●孫の養子縁組デメリット

▼遺産分割も法定相続分通りとなる。

▼養子縁組をしていない孫や親族がいた場合、心情的トラブルに発展することがある。

▼被相続人に実子がいる場合には1人、実子がいない場合には2人までしか、養子を法定相続人の数に含めることができない。

▼孫養子の相続税は20%割増される

トラブル注意

養子縁組の場合、他の親族の同意が得られてない事も多く、心情的なトラブルに発展することが少なくありません。節税を考えた場合に、20%加算と二次相続をシュミレーションした上での対策が必要となります。結果、多く相続税を払うことになってしまうのは元も子もありませんから、専門家との綿密な相談が必要になるでしょう。

Ⅲ 法定相続人ではなく、孫に相続(遺贈)させたいのなら?

法定相続人ではない孫に相続(遺贈)をさせるのならば、遺言書が不可欠となります。また一代飛ばしで相続が出来る為メリットがないわけではありません。想定されるメリットとデメリットをご紹介します。

▼孫に相続・贈与するメリット

・一代飛ばして相続する事で、子から孫への相続を飛ばすことができる。相続税の軽減となる場合がある

・相続開始前3年以内の贈与財産の加算がない。

・孫への相続の場合、相続税が2割加算となる

・贈与の場合でも、相続税の税率より割高

・財産移転のあとの資産管理がきちんとできないと、贈与の事実に対して疑問が生じる

上記はあくまでも想定です。単に相続ではなく、できるだけ早い段階から、孫への生前贈与を始めることで、より相続税の節税効果が大きくなります。以降の例を参考に、より良い財産転移を考えましょう。

Ⅳ 孫に贈与を考えるなら?

相続対策は相続だけ考えることはありません。生前贈与を活用し、孫に資産を転化する方法は、確実に本人の意思で行える為、話し合いも行いやすく生前の対策として注目の方法です。使途や額により特例を利用できるものをご紹介します。

贈与税の基本

27年分より贈与税の計算の際、使用される速算表が二つに区分され税率が変更となりましたのでご紹介します。

①特例税率を使用する特例贈与財産用

対象になる受贈者:贈与税の直系尊属(祖父母や父母など)から、20才以上の子・孫などへ贈与の計算に使用します。

②一般税率を使用する一般贈与財産用

対象になる受贈者:特例税率以外の受贈者へ贈与の計算に使用します。(夫婦間や兄弟間、未成年の子や孫など)

贈与税速算表

孫にコツコツ贈与。孫に毎年110万円までは非課税(暦年贈与)

孫への贈与で、税率を基準に税額を抑えていく方法、または税額のかからない非課税の範囲内でこつこつと贈与を行う方法があります。年間(1月1日から12月31日)の間に110万円以内であれば基礎控除内のため相続税はかからないという事になります。

この方法は広く知られており、既に利用されている方も多い暦年贈与です。次の点に注意した上での活用を心がけましょう。

トラブル注意

孫の知らない口座にコツコツ入金をするのは危険です。意外と多いのが、孫が贈与の存在を知らずに、通帳についても孫は持っていない(自由に使えない)ケースです。名義が孫でも相続財産として見られる「名義借り預金」。

相続税の調査で、名義預金として祖母から孫に対しての贈与が認められず、祖母の相続財産として相続財産に加算する修正申告の提出が求められる事もあるのです。

孫への贈与を示す契約書の作成や、振り込む金融機関は孫が給与口座などで動かしている口座を使うなどの方法がベター。

詳細は暦年贈与の注意点が関連ページをご参照下さい。

【関連ページ】孫に相続を!と考えるならこの方法と上手に付き合おう!

相続時精算課税制度に孫登場!

これまで受贈者の条件が贈与者の推定相続人であったのが「推定相続人及び孫」となり、贈与側の年齢も60歳へと引き下げられました。2500万円の特別控除額が設けられており、よって2500万円までの贈与に関しては、贈与税なしで贈与が可能となっています。

相続時精算課税制度の内容

相続時には、相続時精算課税での贈与財産を加算して相続税を計算し、相続税と支払い済みの贈与税との差額を支払う(還付の可能性もあり)ことになります。

2500万円までは贈与税なしで贈与可能で財産の種類や回数や年数・金額にも制限はなし。(2500万円を越えた部分に対して20%の贈与税がかかる。)

しかし、安易に孫に2500万円を相続させるという方法だけが良いのではなく、性質上しっかりと判断した上での選択が必要となります。検討の際は専門家への相談をオススメします。

孫の贈与で相続時精算課税を利用した際注意点とデメリット

・申告が必要で、一度相続時精算課税を利用すると撤回はできない

・暦年課税に戻すことができない

・不動産の贈与に小規模宅地等の特例が適用にならない(金銭の贈与より不動産の相続の方が有利になる事もある)

・他の相続人に贈与の内容がわかってしまう

トラブル注意

将来、価値の上昇が見込める資産を贈与することで節税となる場合もある一方、思うように価値が上昇しない場合には暦年贈与の方が良かった・・・というケースもあります。一度相続時精算課税制度を選択すると暦年贈与に戻れませんので慎重な判断が必要です。

例として皆さんご存知の電力会社の株式を安定株として、贈与したが後の震災で大暴落。少しは持ち直したものの未だ、株価は贈与時の価値の1/4ほど。

しかし、今後の相続の際は1/4の価値になっても2500万円の財産として相続財産と組み込まれてしまうという、事例です。贈与者はこの後、何十年の寿命は想定できない様子。今後数年で株価が急激に回復する事は考えにくい為、損をしてしまう現実は回避できないでしょう。

2500万円の特別控除はあくまでも相続税の後払いであり、財産価値の変動だけではなく、小規模宅地等の特例や受贈者が孫である場合、相続時に2割加算になる点なども考慮する必要があります。

性質上しっかりと判断した上での選択が必要となる為、検討の際は専門家への相談をオススメします。

 

孫の教育のために!孫の教育資金は1500万円までなら非課税

かわいい孫の為に教育資金として贈与する方法があります。また、孫の教育資金の為であれば、1500万円までは非課税とされる制度です。銀行などで信託する手段で認められており、金融商品として加熱している教育資金の贈与です。

金融機関で孫・ひ孫への贈与でこの手の商品が注目されている証拠に、すでに「孫の○○」「孫への○○」などの愛称もみかけるほどです。そして平成27年12月末日で適用期限が終了する予定でしたが、改正により、平成31年3月末日まで延長されることとなりました。「孫への教育資金」という事で利用目的が明確で、比較的わかりやすい制度ですので、その特徴と概要をご説明します。

教育資金一括贈与制度孫の要件は「30歳未満」であるという点のみです。同時に孫(受贈者)が30歳になった時点で契約は終了となります。(贈与者の生存状況は関係ありません)

確実に必要になる教育費の名目で贈与できるのは、孫をもつ祖父母からしてみると財産を遺す意義も見出せ、商品としても人気を博しています。あとは受贈者側が教育資金の範囲となる費用について都度領収書などで金融機関に提出をするだけです。

孫への教育資金一括贈与制度のメリット

▼同じ孫への暦年贈与と併用が可能

▼孫が30歳になるまでに教育資金として使い切ることで贈与税の負担がない

▼コツコツ贈与(暦年贈与)だと継続の心配がある場合、元気なうちに一括で贈与できる など

孫への教育資金一括贈与制度のデメリット

▼30歳までに孫が教育資金として使い切ることが出来なかった場合、その残額に対して贈与税がかかる

▼教育資金以外の用途でしか適用にならない

高等教育も既に修了しているような場合は、相談をして贈与額を決定したほうがよさそうですね。

孫への教育資金の一括贈与制度の利用は、上記の様に大きなデメリットというのは考えにくいともいえます。贈与者側の老後の生活資金もきちんと考慮したうえで、受贈者側とも話し合い、決める方法が良いでしょう。

この制度は平成27年4月1日から平成31年3月31日までの措置とされています。

トラブル注意

わかりやすい制度のため、多くの方が孫のためにと利用する中、トラブルもあります。孫への受贈者は祖父母2人ではないという事です。祖父母は4人いるのです。息子の祖父母が良かれと思って対策を講じた場合、息子の嫁の父母から「一人娘なので孫が一人しかいない。孫に贈与をしようと思っていたのに・・・」といわれ、関係が気まずくなってしまうことだってあるのです。

受贈者一人に対して1500万円の枠という事を念頭に、孫への贈与も一人(二人)よがりでなく、子の夫婦双方の祖父母を交えて検討が必要な場合もありそうですね。

 孫の結婚・子育ての為に!1000万円までなら非課税

 教育資金と同様、孫の将来を考えた非課税制度が創設されました。教育資金と同様、将来予想できる出費についての名目での贈与は贈与者には明確な目的の元、利用できる点では教育資金の際と同じで暦年贈与との併用も可能ですが、利用の際異なる点も有りますので、特徴を概要をご説明します。

この制度は平成27年4月1日から平成31年3月31日までの措置とされています。

結婚・子育て

結婚子育て残額

 

孫の要件は20歳から50歳までと一見対象も幅広いように感じますが、この制度は贈与者の相続が発生した際に残額を相続税の課税価額に加算するとあります。節税にならない事もありますのでご注意下さい。

反対に孫の相続では2割加算がありますが、この制度を使用した際の残額に2割加算は適用されません。教育資金と大きく異なるのが贈与者が亡くなった時の取り扱いです。

教育資金同様に結婚・子育て資金にかかわる用途でしか使用できないので、冒頭の説明の通り、生涯未婚率が右肩上がりの現状、結婚の予定のない孫の場合、この用途で利用されるかは”孫への期待をこめて”の贈与となるでしょう。

この贈与を持って結婚へのプレッシャーをかけるというのも一つの手かもしれませんね。 

未成年の孫へ。「子ども版NISA」 もうすぐスタート!

子どもが少ない現代では、進学や入学の際、昔よりも親族からまとまったお祝い金をもらう事が増えています。そこで、平成28年1月1日から開設できる事になった未成年を対象にした「子ども版NISA」が注目を浴びています。運用開始は同年4月1日からとなります。「子ども版NISA」の特徴をご紹介します。

こどもNISA

未成年の名義の口座を開設する為、口座の管理者は親権者が行うことになりますが、原則18歳までは 引き出すことができません。(途中で解約の場合は課税対象となる)。株や投資信託の値上がり益や配当金(分配金)が非課税になる為、18歳になった際には投資額+αの期待が持てる方法です。

暦年贈与などの他の非課税制度とも併用が可能です。注意したいのはあくまでも投資型金融商品であるという事です。絶対に元本を保証される金融商品です。NISA自体2014からスタートしたばかり、仕組みの説明をきちんと、うける必要もありますね。

18歳になるまでは引き出すことができず、かといって再投資もできず、そのまま何年も置いておくことになります。使い勝手の面でどのように整備されるか注目です。この制度の継続期間については2016年から2023年までの8年間の期限が設けられていますが他の課税制度を利用したほうが良い場合もありますので、様々な非課税制度と比べ検討する必要がありそうです。

【関連ページ】未成年の相続対策。気になるあの方法とは

孫への二割加算も念頭に

代襲相続でない孫への相続は相続税2割加算の対象となっています。しかし、子から孫へ相続をするよりも、二割加算でも先に相続をさせておいたほうが対策になるケースも多いのが事実です。二割加算を念頭にどの様に相続させるのかを専門的に考えたほうが良いですね。

【関連記事】相続税の二割加算はどんな時にかかるのですか?(36歳 女性 会社員)

生前贈与は老後の資金を考えて・・・

金融機関へ行けば様々な贈与対策の商品が待ち構えています。但しまず大事なのは贈与を考えている方のこれからの資金です。まずは自身の老後資金の計画を立て、相続の際に支払う税金と、生前対策で利用する額を出し、どの方法が適切かを考える必要があります。

3000万円を取り崩した場合

グラフからわかるように、貯蓄のうち3000万円を生活費、などに当てた場合の手元に残る金額のグラフです。インフレを考慮すると、20年後インフレ率が4パーセントの場合はすでにマイナスになっています。

20年後、30年後の資産の計算はインフレ率などを考慮する必要がありますので、専門家の手を借りしっかりと計画を立てたいものですね。

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