海外在住ですが、相続はどうなりますか?(39歳 女性 会社員)

2017年2月23日


 

こんにちは、相続110番です。
ご自身が海外で生活しているときにご家族に相続が発生した場合、どうすれば良いのか悩まれる方は多いのではないでしょうか。
今回は相続人のひとりに海外在住の方がいる場合の手続きについてお話しします。

 

海外在住の場合の相続税はどこに納めるの?

ご相談

私は、海外在住(アメリカ)日本国籍保持者です。日本に住む、実の父が先日亡くなりました。これから、相続手続きを始めます。
もし相続税を払う事になれば、私はどこの国で相続税を支払う事になりますか?相続するものは、すべて日本国内のもので土地・家・預貯金、有価証券です。海外在住で注意する事などが知りたいです。

回答
海外在住(アメリカ)の今回のご相談者様は日本での相続税納税義務者となります。
 
 

海外在住でも相続税の納税義務者となるのか?

相続・遺贈・死因贈与によって財産を取得した個人が対象です。海外在住の方の状況により、課税対象、課税財産の範囲が異なります。
相続が発生した際に、海外在住で日本に住所がない人は、日本国内にある資産だけが相続税の課税対象になります。

ただし、次の①②いずれかに該当する人が財産を取得すると、日本国外にある財産についても相続税の対象になります。

  1. 相続のときに日本国籍を有している人で、被相続人又は財産を取得した人が被相続人の死亡した日前10年以内に日本国内に住所を有したことがある。
  2. 相続のときに日本国籍を有していない人で、被相続人が日本国内に住所を有している。

(注1)留学や海外出張など一時的に一時的に海外在住となり、日本国内を離れている人は、日本国内に住所があることになります。

(注2)上記②の場合は、平成25年4月1日以後に相続又は遺贈により取得する財産に係る相続税に適用されます。

(注3)相続などで財産を取得していない場合でも、被相続人から生前に贈与を受けた財産について相続時精算課税の適用を受けている場合には、相続時精算課税の対象となった財産が相続税の課税対象となる。

 

 

手続きが異なる海外在住者の相続手続き

相続人が複数いて、遺産分割の話し合いがスムーズに終わったとしても、銀行口座の手続きや不動産の名義変更をする際、遺産分割協議書が必要書類の中に挙がってきます。海外在住の方がいても同様です。

遺産分割協議書へは、相続人全員が署名と実印による押印をし、印鑑証明書を添付。しかし、相続人が海外在住で日本に住民票がない為、印鑑証明の交付を受けられません。そこで印鑑証明書の代わりにサイン証明(署名証明)を利用することになります。また、海外在住である事を証明する在留証明書も必要になります。

 

 

海外在住者が必要となるサイン証明(署名証明)とは

サイン証明についてのイメージ画像

 

海外在住で日本には住民登録をしていない方に対し、日本の印鑑証明に代わるものとして発給されるもので、申請者の署名(及び拇印)が確かに領事の面前でなされたことを証明するものです。

遺産分割協議書を日本国大使館、総領事館に持参し、領事の面前で署名および拇印を押捺し、遺産分割協議書と署名証明書を綴り合わせて割り印をします(奥書認証)。なお、遺産分割協議書への署名は領事の面前で行う必要があり、事前に署名をせずに持参しなくてはなりません。

サイン証明には、上記と合わせて2種類の方法があります。

  1. 持参書類(遺産分割協議書)とサイン証明を綴り合わせて割印し、一体の書類としたものに奥書認証するもの
  2. 申請者の署名を単独で証明するもの(サイン証明のみを単独で発行)

海外在住者が登記申請をする際には、原則として1の方法によるサイン証明を使用します。

 

 

海外在住者が必要となる在留証明書とは

海外在住の日本人が当該国のどこに住所(生活の本拠)を有しているか、あるいは当該国内での転居歴(過去、どこに住んでいたか)を証明するものです。こちらも、サイン証明書と同様に、現地の日本国大使館・総領事館で発行してもらうことになりますので、同時に申請するとよいですね。

ただし、海外在住の在留証明書の発行には「日本国籍があること」、「在留届を提出済み」、「現地に既に3ヶ月以上滞在し、現在居住していること」という条件があります。

[海外在住なら知っておきたい!]サイン証明・在留証明の取得方法手数料などはこちら

 

 

専門家も頭を悩ます海外在住者の相続

相続は「被相続人の本国法による」と規定されていますので、故人の本国の法律が適用されることになります。亡くなった方の国籍の法律が適用されるという事です。海外在住である場合日本国内に住所があるかどうかと国籍により、課税される範囲が異なります。区分は以下の通りです。

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※相続税の納税義務者と被相続人の両方が課税時期前5年(平成29年度4月1日以降は10年)以内に日本に居住していない時は、国内財産のみが課税対象となります。

但し、相続財産の範囲などの相続に関する法律や時効の取り扱いが異なる為、専門家も頭を悩ます、事例となっているのです。被相続人、相続人に外国籍の方がいる場合、その国の法律や州法、などにより異なります。また、相続する資産の所在地などによっても異なります

婚姻してから取得した資産を夫婦共有とする「夫婦財産制」を採用している国(ドイツ、フランス、アメリカの一部の州など)もあり、被相続人の本国法において、どんな夫婦財産制を採用しているのかを確認することも必要です。

 

 

相続に関する法律 国別一覧

※表はあくまでも概要です。必ず、専門家にご相談ください。

海外在住の場合の準拠法について

※米国においては、統一的な法律は存在せず、州法により異なります。
※在留資格、在日韓国人の方は手続きも別となります。

 

 

コミュニケーションと煩雑な手続きが相続人の負担に?

海外在住の相続人の手続きは、手続きをすべて終えるまで日本にいられる方ばかりではありません。また、海外在住の相続人とは何十年も会っていないようなケースで親族が困り果てるという事もあるでしょう。遺産分割協議をするにしても、相続人が海外在住ではコミュニケーションも取りづらく、無事に遺産分割協議が終えたとしてもなお、納付の手続き、大使館での書類の取り寄せ、財産の名義変更など、海外在住のままではとても負担になる作業が待っています。日本に託せる親族がいないと一人では気が遠くなる作業です。

 

 

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