空き家対策法と相続の関係とは?対策はあるの?

2017年3月27日


空き家が急増しているのはなぜ?

空き家が急増している理由はたくさんあると思いますが、大きな要因は2つあります。

一つ目は、新興住宅地の老朽化です。高度成長期からバブル期前にかけて開発された新興住宅地は、発展の真っ只中に建てられた古いもので約60年も経過しています。建物が老朽化しているため、住む人が減少し、空き家が増加している要因のひとつとされています。

二つ目は、固定資産税の特例を受けるために古くなった空き家でも取り壊しをせず、放置されている状態になっているとこが考えられます。この固定資産税の特例を簡単に説明すると、200平方メートル以下の部分については6分の1に、200平方メートルを越える部分については3分の1に住宅用宅地の固定資産税評価額が軽減される特例のことで、廃屋のような状態でも建物さえ建っていれば更地にするよりお得だったわけです。

このような要因で空き家が増えているわけですが、そのきっかけとなるのが、その不動産を相続したときといわれています。

ご両親と別居している場合は、相続しても遠方で使うことがない場合や、自分の自宅を既に持っているなど、理由はさまざまですが相続をしたことによって、家が使われなくなるケースが増えているといわれています。ましてや、超高齢化社会の昨今、ますます深刻化していくことは間違いありませんね。

 

空き家が増えるとなぜダメなのか?

空き家が増えると、町の景観が悪くなり人もいないので、放火や不法侵入などの犯罪を呼ぶことになっていまいます。そうなると、その町の印象が悪くなるため、新たに住んでくれる人がいなくなるだけでなく、元々住んでいた人たちがその町から出て行ってしまう・・・という悪循環になりかねません。また、東日本大震災で空き家の倒壊などが多く発生したため、防災対策の観点からも空き家問題に高い関心が寄せられました。

この事態を深刻に受け止めた政府が動きました。それが2015年5月から施工された「空き家等対策の推進に関する特別措置法(空き家対策法)」です。

この法律ができたことで、相続した不動産をそのまま放置しておくことはできなくなるということです。

 

空き家対策法はどんな内容なのか?

相続をした不動産が空き家になったからといって、すぐに空き家対策法の対象となるわけではありません。対象となるには下記の4つのいずれかに当てはまる場合において「特定空き家等」と認定されると、空き家対策法の対象となります。

 

<特定空き家等の判断>

①そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態

建物の破損屋や地盤沈下、建物や建物に附属している看板等の破損、老朽化などにより倒壊する恐れがある状態のこと。

②そのまま放置すれば著しく衛生上有害となる恐れのある状態

ごみの不法投棄などによる異臭や害虫・害獣が繁殖している、排水設備等の破損による汚物の流出や異臭の発生などにより地域住民の衛生上有害と認められる状態のこと。

③適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態

景観法に基づき都市計画で景観地区に定められている地域で、条例や景観保全のルールに適合しない場合や、建物への落書きや鳥の糞等で汚れている、窓ガラスが割れたままで放置されている、敷地内にゴミが散乱している、立ち木や蔦が繁殖して手入れがされていないなど、景観のルールに適合しない状態のこと。

④その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態

立木の腐朽や倒壊により道路や敷地内に枝葉が大量に散らばっている、空き家に住み着いた動物の鳴き声や糞尿などにより周辺住民の生活に支障をきたしている、また空き家に住み着いた動物が近隣家屋に飛来するなどして地域住民の生活に悪影響を及ぼしている状態のこと。

 

特定空き家等に認定されるとどうなるのか?

まず、特定空き家等に認定されると、行政から「助言・指導」が入ります。どんなところをどう改善すればよいのか確認して、修繕なり取り壊しなどを行ってください。

この助言・指導を無視すると、住宅用地特例の対象から外され、「勧告」が入ります。住宅用地特例の対象から外されるということは、固定資産税と都市計画税が6倍に増え、税額が更地と同等の扱いになります。

この勧告も無視すると「命令」が入ります。これは、行政から所有者に対して建物の修繕や撤去の命令をされます。

さらに命令を無視すると最後に「行政代執行」となります。命令しても改善されない場合は罰金が発生する場合や、行政が強制的に取り壊しをします。取り壊しを代わりにやってくれるなんて、ラッキー!・・・なんてそんなに甘くはありません。行政代執行でかかる費用は所有者に請求されます。自分で修繕や取り壊しの見積りをした方が安いケースがあるかもしれませんので、助言・指導が入ったところで対応しておくことが大切です。

このような状態にならないために、どんな対策があるのでしょうか?

 

特定空き家に認定されないための対策

相続した建物が特定空き家に認定されないための対策として、現時点では主に4つの対策方法が考えられます。

 ①売却による優遇措置を受ける

 ②賃貸により建物を維持する

 ③行政の空き家対策の条例を利用する

 ④空き家の管理代行サービスを利用する

それぞれ詳しく説明していきましょう。

 

①売却による優遇措置を受ける

不動産の売却によって受けられる優遇措置は主に3つあります。

Ⅰ:空き家譲渡所得による特別控除

優遇措置の一つ目は空き家譲渡所得による特別控除です。この空き家譲渡所得による特別控除とは、下記の条件を満たす物件を売却すると譲渡所得から最高3000万円の特別控除が受けられるものです。

<適用期間の条件>

相続開始日から3年経過する日が属する年の12月31日まで、かつ、平成28年4月1日から平成31年12月31日までに譲渡(売却)しなければならない。

※平成31年12月31日までの譲渡というのは、平成31年12月31日までの契約が完了していれば、引渡し日が期間外でも適用となります。

<家屋の条件>

特例を受けるための家屋は以下の条件を満たさなければ適用の対象とはなりません。

 1:被相続人(死亡した人)から相続した家屋であること

 2:昭和56(1981)年5月31日以前に建てられた一戸建てであること

 3:相続開始直前まで被相続人が住んでいた

 4:相続開始直前まで被相続人以外に該当家屋に住んでいない

 5:相続してから、居住・賃貸・その他事業に使用していない

<譲渡するときの条件>

譲渡する際にも条件があり、下記の条件を満たさなければなりません。

 1:譲渡(売却)価格が1億円以下であること

 2:譲渡時において耐震基準を満たす改修や取り壊しがされている

※空き家譲渡所得による特別控除についての詳しい説明→空き家譲渡所得による特別控除とは?条件はあるの?

 

Ⅱ:取得費加算の特例

優遇措置の二つ目は取得費加算の特例です。これは、相続した空き家の建物に限らず、土地や株式、ゴルフ会員権などの財産を売ったときに得られる譲渡所得を計算する際に、支払った相続税の一部を「取得費」に加算でき譲渡所得の金額を軽減させる仕組みのことです。譲渡所得が減るということは、支払う税金も減るということです。この特例の対象となるには下記の条件を満たさなければなりません。

<特例を受けるための条件>

 1:相続または遺贈によって取得した財産である

 2:相続した際に、相続税が課税されている

 3:相続開始日の翌日から3年10ヶ月以内に譲渡していること

※取得費加算の特例についての詳しい説明→相続税取得費加算の特例とは?計算方法まで解説します

 

Ⅲ:長期譲渡所得の適用

優遇措置の三つ目は長期譲渡所得の適用です。一定期間以上所有していた場合、税率が低くなる制度のことです。この制度を受けるための条件は下記の通りです。

<制度を受けるための条件>

 1:譲渡した年の11日時点で、5年以上所有していること

この制度は相続した家屋以外にも適用できるので、相続した家屋にあてはめて解説すると、「譲渡した年の1月1日時点で、被相続人が5年以上所有していた家屋であること」ということになります。5年以上所有している場合の譲渡所得税率は20%なのですが、所有期間が5年以下の場合は譲渡所得税率が39%とほぼ倍の税率になってしまいます(2017年3月現在)

売却したときの優遇措置については上記の通りですが、立地などの条件によってはそう簡単に売れないので、売却をお考えの場合は一度専門家へ相談してみるのが良いでしょう。

不動産の査定、売却、売却後の譲渡所得税のケアまで一貫して行ってくれる企業もありますので、一例としてご紹介いたします。

フジ総合グループ

※長期譲渡所得の適用についての詳しい説明→売却後の所得税・住民税は不動産所有期間によって税率が変わる!?

 

②賃貸により建物を維持する

相続した家屋を賃貸物件として利用すると、人も住み建物が維持されていくので空き家として認定されることはありません。家賃収入もあるので上手くいきそうですが、これは賃貸の需要がある程度ある都市部でなら有効な手段かもしれません。立地だけでなく、建物の老朽化具合によっても借り手が見つからないこともありますし、維持管理費がかかるので、採算が取れそうならおすすめです。

 

③行政の空き家対策の条例を利用する

行政の空き家対策は、前述した特定空き家等に認定して修繕・取り壊しをさせる条例だけではありません。どのような対策をしているのでしょうか。一例ですがご紹介します。

<行政の空き家対策の例>

 Ⅰ:空き家バンク

 Ⅱ:空き家対策をした所有者への免税措置・助成金

 

Ⅰ:空き家バンク

空き家バンクとは、所有者が自治体に空き家登録をして、自治体がその空き家の情報物件をホームページや広報誌に掲載することで移住希望者へ物件情報を提供し、所有者と移住希望者のマッチングをすることで空き家を減らす仕組みです。

この空き家バンクは全ての自治体が行っているわけではないので、空き家の所在地の自治体に問い合わせてみてください。また、移住希望者が全自治体の情報を探すのは大変手間のかかる作業ですよね。全国の空き家バンクの情報をまとめて発信している団体もありますので、一例としてご紹介します。

■一般財団法人 移住交流推進機構(JOIN)

ニッポン移住・交流ナビ

 

Ⅱ:空き家対策をした所有者への免税措置・助成金

ある条件の建物の取り壊しをした所有者の固定資産税や都市計画税などの税金の一部を免除したり、その建物の建て替え費用の一部を助成してくれる自治体もあります。こちらの取り組みも自治体によって違い、そもそもこういった制度がない自治体もありますので、空き家の所在地の自治体へ問合せをしてみてください。

 

④空き家の管理代行サービスを利用する

空き家をどうするか、すぐに決められない場合は、空き家の管理代行サービスを利用するのも手かと思います。料金や団体によって室内の換気や通水、清掃、郵便物の回収や除草をしてくれたり、巡回頻度の設定もでき、中には写真つきで報告してくれるものや災害発生時に臨時巡回してくれるものまで、さまざまな内容のサービスがあります。こういったサービスを利用する際は、空き家の鍵の管理や家財の破損の賠償などの契約内容を確認しておくことが大切です。

また、家が荒れるのを防ぐことはできますが、誰も住んでいない状態なのは変わらないので建物の老朽化は進みます。後々、修繕費がかさむ可能性もありますので、代行サービスを利用するのは一時的なものと考えたほうが良いでしょう。

空き家の管理代行サービスを行っている企業や団体が増えています。一例を下記にご紹介しますので、参考にしてみてください。

■大東建物管理株式会社(大東建託グループ)

空き家管理サービス(全国対応)

■綜合警備保障株式会社(ALSOK)

HOME ALSOK るすたくサービス

■特定非営利活動法人空家・空地管理センター

しっかり管理サービス

100円管理サービス

■株式会社三好不動産

空き家サポートサービス(福岡市全域とその周辺)

空き家管理舎

 

いかがでしたでしょうか。空き家を相続させる側も相続する側も、もしものときのことを考えて情報収集や対策をしてみるのはいかがでしょうか。また、不動産は素人には扱うのが難しいですので、専門家への相談をおすすめします。

空き家の相続や専門家のご紹介など無料で承っております。

相続のお悩み、お気軽にご相談ください。
電話相談の受付時間は平日10:00〜18:00です。